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在宅療養者と家族のための移行期看護プロジェクト
3.地域連携に関わる看護職のマネジメント力向上のための教育プログラムの構築
<医療提供体制の変革と看護職に求められる役割>
平成18(2006)年に医療法が改正され「地域完結型医療」の推進が示されました.「地域完結型医療」では,医療,介護,福祉等の連携により患者を中心に切れ目なくサービスを提供できる体制を整える課題が明確になりました.それに伴って病院,施設,診療所,在宅ケアサービスを提供する事業所等,地域の医療福祉資源の整備状況に応じて連携体制を構築することが求められています.
看護においては,このような地域連携が叫ばれる以前から,看護の継続性を重視した活動が行われてきました.しかし,退院時に医療面だけでなく介護面も含めたトータルな調整を必要とするケースが増えてきていることから組織を挙げて多様な職種の参加による協働活動が以前よりも必要になってきています.また,診療報酬による退院調整加算,後期高齢者退院調整加算が認められるようになり,退院調整部門の設置や専従看護師が配置されています.
<地域連携に関わる看護職と共同した研修内容の検討>
“地域連携や退院支援に関わる看護職の研修を検討したい”という相談をきっかけにして平成22年度から取り組んでいます.北信地区看護連携協議会幹事の方々と一緒に,現場の状況を洗い出しながら研修の目的・内容の検討を行いました.
平成23年度の研修内容は,表1のとおりです.
表1.平成23年度の研修内容
目的
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退院支援の目的・方法の理解 チームアプローチに必要なスキルの学習 地域における自施設の役割の確認 他の参加者とのネットワークづくり |
参加者
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21か所(病院,施設)30名 |
内容
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第1回:退院支援の社会的背景と継続看護 退院支援のプロセス他 グループワーク(退院支援,患者受け入れ等の課題整理) 第2回:コミュニケーションについて,家族面接のロールプレイと振り返り 第3回:チームカンファレンスの要素とすすめ方 カンファレンスの現状に関するグループワークと発表 |
<本取り組みのポイント>
・ | 北信地域という一定の圏域にある医療機関や施設に働く看護職を対象としているために,研修を通して培われた人間関係が“顔の見える”連携に結びついている. |
・ | 日常的に行っている業務や退院支援に関わる業務を振り返り,理論的な位置づけを確認しながら学習する実践的な内容. |
・ | 受講者アンケートや研修時の反応等から研修評価を行い,実施母体の組織に成果をフィードバック. |
写真:第3回目の研修風景(カンファレンスの現状と課題に関するグループワーク)
なお,平成23年度は,科学研究費補助金による研究(課題番号21592908)の一部として取り組みました.